掲載順位は変わっていないのに、クリック数だけが減っている。 Search Console を見ていて、いちばん気持ちの悪い状態だと思います。
原因を探し始める前に見る順番があります。 順番を間違えると、直しても戻らないものを直すことになります。
クリック数は「表示回数 × クリック率」
当たり前の式ですが、ここを分けないまま考えるのが失敗の入口です。
クリック数 = 表示回数 × CTR
順位が変わっていないのにクリックが減ったなら、減ったのは表示回数か、CTRのどちらかです。この2つは原因も打ち手も全く別物です。
- 表示回数が減った — 検索する人が減っています。 タイトルを直しても戻りません
- CTRが減った — 検索結果の中で選ばれなくなっています。ここには打ち手があります
先に見るのは表示回数です。CTRから見ると、直す必要のないものを直すことになります。
手順1: 表示回数を、同じ長さの期間で比べる
Search Console でそのページの表示回数を、変化の前後で比べます。期間の長さは揃えてください。28日と7日を比べても何も分かりません。
表示回数が減っていたなら、考えられるのは次のどれかです。
- 季節性。「確定申告」「暑さ対策」のように、時期で需要が動く語です
- 検索需要そのものの減少。話題が終わった、製品が終売した、 バージョンが変わって検索語が変わった
- 拾っていた検索語が入れ替わった。周辺の語を他のページに取られると、 順位が同じでも表示回数だけ減ります。自分のサイトの新しい記事に取られることもあります
- 一部の語だけ順位が落ちた。下で詳しく書きます
ページの順位は「全部の検索語の平均」であること
最後のものが厄介です。掲載順位はそのページが拾っている検索語をまたいだ平均なので、 いくつかの語で大きく落ちても、平均としてはほとんど動かないことがあります。
語ごとに見るには、Search Console の「検索結果」レポートでページを絞り込み、 「クエリ」タブに切り替えて期間を比較します。
⚠️ これはダウンロードしたCSVではできません。「ページ」CSVと「クエリ」CSVは別々に出力され、どのページのどの語かという対応が入っていないからです。 この作業は画面上でやります。理由はサーチコンソールの「ページ」CSVはどの期間で落とすかに書きました。
表示回数が減っているなら、タイトルのリライトは効きません。ここで手を止めるのが正解です。
手順2: 「順位は変わっていない」が本当かを確かめる
表示回数が変わっていないなら、次はここです。順位の見方でいちばん多い誤りは、長い期間の平均を見ていることです。
過去12か月で見ると、掲載順位は12か月ぶんの平均になります。落ちる前の順位が平均に含まれているので、 最近落ちたページほど、あまり動いていないように見えます。
極端な例です。
9か月間 8位 直近3か月 20位 -------------------------- 12か月の平均 11位 ← 画面に出る数字 いまの順位 20位 ← 実際
期間を過去3か月にして、同じページの順位をもう一度見てください。12か月のときと大きく違っていたなら、順位は変わっています。 その場合はこの記事の話ではなく、順位が落ちた原因を探す話になります。
手順3: CTRだけが下がっている場合
表示回数が同じ、短い期間で見ても順位が同じ。それでCTRが下がっているなら、検索結果の中での見え方が変わったということです。 自分が何もしていなくても起こります。
- AI Overview(AIによる要約)が出るようになった。検索結果の上にAIの回答が挟まると、1位のクリック率が58%減るという調査があります (Ahrefs・2025年12月・30万キーワード)。出現率を50%として、 期待値を約29%引き下げて考える必要があります
- 競合がタイトルを変えた。自分の上下の結果が魅力的になれば、 同じ順位でも取られます
- 強調スニペット・動画枠・「他の人はこちらも質問」が増えた。検索結果を占める要素が増えると、同じ順位でも押される回数は減ります
見分け方は2つあります。狙っている語で実際に検索して、 自分の記事の上に何が入っているかを見ること。そして触っていない他のページも同じ時期に一斉に下がっていないかを見ることです。 一斉に下がっていれば、原因はあなたのタイトルではありません。
原因ごとの詳しい切り分けは表示回数は多いのにクリックされない原因にまとめてあります。
このツールで分からないこと
このサイトのツールは、Search Console の「ページ」CSVから取りこぼしを判定します。 ただしいまのあなたの状況には、そのままでは向いていません。自分の道具の限界なので、先に書いておきます。
- 12か月の平均順位を使うからです。上に書いたとおり、直近で落ちたページは実際より良い順位に見えます。 ツールはその順位に対する平均クリック率と比べるので、「順位は取れているのにクリックされていない=タイトルの問題」と誤診します。実際の原因は順位が落ちたことです
- 1時点のスナップショットしか見ないからです。CSVには期間の合計しか入っていないので、増えたか減ったかは原理的に分かりません。「減った」は、あなたが2つの期間を比べて初めて分かることです
それでも使うなら、こうしてください。
- 期間を過去3か月にして「ページ」CSVを落とす
- 期間を過去12か月にして、もう一度落とす
- 気になるページの掲載順位を、2つのCSVで見比べる
- 3か月側で11位以下になっているページは、 12か月側で「タイトルの問題」と出ていてもそちらを信じない。11位以下は中身の問題として扱う帯です
補足として、判定に使えるのは表示回数100回以上のページだけです。 期間を3か月に縮めると多くのページがここを割るので、3か月版は順位の比較にだけ使ってください。
見る順番(トリアージ)
| 見るもの | 結果 | 次にやること |
|---|---|---|
| 表示回数(同じ長さの期間で比較) | 減っている | 需要か、拾う語が変わった。ここで止める |
| 過去3か月での掲載順位 | 12か月と大きく違う | 順位が落ちている。CTRの話ではない |
| 触っていない他ページのCTR | 一緒に下がっている | 検索結果側の変化。タイトルだけでは戻らない |
| 狙う語で実際に検索する | AI Overview・動画枠がある | 期待値を下げて見る |
| 上のどれにも当たらない | — | タイトルとディスクリプションを直す対象 |
最後の行に来て、はじめてリライトの話になります。
戻らないものを追いかけない
書いておきたいのは、表の上の4行のどれかに当たった場合、そのページに時間を使っても戻らないということです。
需要が減った語のページを何度リライトしても、需要は戻りません。 AI Overview が出るようになった語で、クリック率を以前の水準に戻すこともできません。
できるのは、戻らないぶんを別のページで取ることです。まだ取りこぼしているページを探して、そちらを直すほうが同じ時間で効きます。どのページに取りこぼしがあるかは、順位と表示回数から機械的に出せます。
まとめ
- クリック数 = 表示回数 × CTR。先に表示回数を見る
- 表示回数が減っているなら、タイトルのリライトでは戻らない
- ページの順位は検索語をまたいだ平均。一部の語だけ落ちても平均は動かない
- 「順位は変わっていない」は、過去3か月で見直してから言う
- CTRだけが下がっているなら、原因は検索結果側にあることが多い
- このツールは12か月平均を使うので、直近で落ちたページを誤診する。3か月と12か月を見比べてから使う
取りこぼしているページの探し方は判定基準を全部公開した記事に書いてあるので、スプレッドシートでも再現できます。
リライトレーダー— 1記事ぶんの改善案は無料です。