Search Console を開いても「どの記事をリライトするか」は書いてありません。 そこは自分で決める必要があります。
順位が低い記事から直すのはほぼ失敗します。50位の記事が10位に上がるのは、記事が足りていないか勝てないキーワードを狙っているかで、 リライトで済む話ではないことが多いからです。
割がいいのは「順位は取れているのに、クリックされていない記事」です。順位を1つも動かさずにクリックが増える可能性があり、直すのはタイトルだけなので早く、 失敗しても戻せます。
この記事では、その記事を見つける手順をスプレッドシートで手作業で再現できる形で全部書きます。私が作ったツールがやっている計算そのものです。
手順の全体
- Search Console から「ページ」CSVを落とす(期間は過去12か月)
- 順位4〜20位・表示100回以上に絞る
- 順位ごとの期待CTRを当てる
- 期待CTRと実CTRの差 × 表示回数 で「取りこぼしクリック数」を出す
- 取りこぼしの大きい順に並べる
- 順位帯で「タイトルの問題」と「中身の問題」に分ける
1. CSVを落とす
検索パフォーマンスの画面からエクスポートすると、複数のCSVが入ったZIPが落ちてきます。 使うのはページ.csvです。
期間は「過去12か月」にしてください。既定のままだと個人ブログでは1ページあたりの表示回数が2桁に収まりがちで、 次の絞り込みで全部落ちます。私自身、既定のまま落として0件になりました。
2. 絞り込む
2つの条件で絞ります。
| 条件 | 理由 |
|---|---|
| 掲載順位 4〜20位 | 3位以内はすでに取れている。20位より下は検索結果の2ページ目以降で、 タイトルを直しても見られない |
| 表示回数 100回以上 | これ未満だと実CTRが偶然で大きく動く。17回表示ならクリック1回で CTRが0%から5.9%に跳ねるので判断材料にならない |
3. 期待CTRを当てる
「その順位なら平均どれくらいクリックされるか」の値です。この表を使ってください。
| 掲載順位 | 期待CTR | タイトル問題と判定する差 |
|---|---|---|
| 4位 | 2.78% | 1.39% |
| 5位 | 2.12% | 1.06% |
| 6位 | 1.72% | 0.86% |
| 7位 | 1.46% | 0.73% |
| 8位 | 1.26% | 0.63% |
| 9位 | 1.04% | 0.52% |
| 10位 | 0.94% | 0.47% |
| 11位 | 0.73% | 0.37% |
| 12位 | 0.71% | 0.35% |
| 13〜20位 | 0.71% | 0.35% |
小数の順位(8.4位など)は、前後の値の間を按分してください。 8位が1.26%、9位が1.04%なら、 8.4位は1.17%あたりです。
この数字の出どころ
土台は seoClarity の2021年調査の日本市場データです。そのうえでAI Overview によるクリック減を補正して0.71倍にしています。
補正が必要なのは、AI Overview 以前の期待値と以後の実測値を比べると、全ページで取りこぼしを過大評価するからです。よく引用される「1位のCTRは39.8%」は米国B2B偏りのデータで、 日本のサイトに当てるとほぼ全部が取りこぼし判定になります。
経緯と限界はこちらの記事に書いています。
13位以下が一定なのは意図的です。調査の生データは13位で1.07%まで下がったあと19位で2.91%に上がります(2ページ目に進む人の 行動によるもの)。そのまま使うと「順位を下げたほうが取りこぼしが大きくなる」矛盾が出るので、 下限で固定しています。
4. 取りこぼしクリック数を出す
取りこぼし = 表示回数 × (期待CTR − 実CTR) ÷ 100 ※ 期待CTR・実CTRはパーセントの数値をそのまま使う ※ マイナスになったら 0 にする
マイナスを0にするのが要点です。指名検索(ブログ名・ハンドル名)の多いページは実CTRが期待を大きく上回り、 1位で60%を超えることもあります。放っておくと「取りこぼしがマイナス」の行が 並び順を壊すので、潰します。
スプレッドシートならこうなります。
=MAX(0, C2 * (E2 - D2) / 100) C列: 表示回数 D列: CTR(実測。%を外した数値) E列: 期待CTR(上の表から当てた値)
CSVのCTR列は 0.31% のように%付きの文字列で入っているので、数値に直してから使ってください。
5. 並べる
取りこぼしの大きい順に並べます。これで「直す順番」が決まります。
並び順が表示回数に強く引っ張られるのは仕様です。表示100回のページで CTRを2倍にしても増えるのは数クリックですが、表示5,000回のページなら数十クリックになります。効果の絶対量で並べたいので、これが正しい挙動です。
6. タイトルの問題か、中身の問題かを分ける
順位帯で切ります。
| 条件 | 診断 | やること |
|---|---|---|
| 11位以下 | 中身の問題 | 網羅性・検索意図との一致。本文を足す |
| 10位以内で、差が期待CTRの半分以上 | タイトルの問題 | タイトルとディスクリプションを直す |
| 10位以内で、差が半分未満 | 取りこぼし小 | 触らない。他のページを優先する |
「半分以上」の具体的な数値は、上の表の3列目に入れてあります。 8位なら期待1.26%に対して差が0.63%以上、 つまり実CTRが0.63%を下回っていればタイトルの問題です。
11位以下を「中身の問題」にしているのは、順位が足りていないからです。検索結果の1ページ目に入っていないページは、タイトルを直しても見られる回数が増えません。 まず順位を上げる必要があり、それは本文の仕事です。
3行目の「触らない」が出るのは良い兆候です。順位に対して妥当なCTRが出ているので、そのページに手を入れる価値が薄いという意味です。限られた時間を他に回してください。
この方法の限界
正直に書いておきます。
- 期待CTRは平均値です。あなたのページ固有の事情(ブランドの知名度・季節性・検索結果の構成)は入っていません
- 掲載順位はクエリ横断の平均です。複数のキーワードで表示されているページの「平均8位」は、 3位のクエリと20位のクエリの混合かもしれません
- 12か月平均は、最近下がったページを高く見せます。「8位なのにクリックされない」と見えたページが、実はもう20位のことがあります。 直す直前に直近の順位を確認してください
- AI Overview の日本固有の出現率は分かりません。補正に使った0.50は米国ベースの報告からの推定です
だから出てくる数字は「直せば必ずその分増える」ではなく「見に行く順番」として使ってください。
毎回やるのが面倒な場合
上の計算はスプレッドシートで再現できます。式も基準も全部この記事に書きました。隠すほどのものではありません。
ただ、記事が増えるたびに手作業でやるのは面倒なので、CSVを貼るだけで ここまでを自動でやるツールを作りました。1記事ぶんの改善案(タイトル案・足りない見出し・直し方の手順)は無料で出ます。
リライトレーダー— ログイン不要で、貼ったCSVはブラウザの外に出ません。