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指名検索が混ざるとCTRが高く出る、「十分クリックされている」という誤診

CTRが平均を大きく上回るページは、ブログ名や自分の名前での検索が混ざっていることがあります。指名検索は行き先が決まっている検索で、クリックが順位ではほとんど決まらないため、順位別の期待CTRとの比較が成立しません。混ざったまま見ると、直すべきページを見逃します。見分け方まで書きました。

この記事のまとめ

CTRが平均より大きく高いページは、指名検索(ブログ名・自分の名前・商品名での検索)が混ざっていることがあります。指名検索は行き先が決まっている検索なので、順位で決まるクリック率とは前提が違います。順位別の期待CTR(日本市場の実測13.94%にAI Overview補正をかけた1位9.90%、6位2.05%)は一般の情報検索を前提にした平均なので、指名検索が多いページではそもそも比較が成立しません。混ざったまま見ると「十分クリックされている」と誤診し、本当は直すべきページを見逃します。見分け方は、サーチコンソールでページを1つ選び、クエリにブランド名がどれだけ含まれるかを見ることです。

指名検索のCTRは、平均より高く出ます。しかもわずかに高いのではなく、順位から期待される値の何倍にもなることがあります。そしてこれはそのページが優秀だからではありません。

問題は、この数字がページ全体のCTRに混ざることです。混ざったページは「十分クリックされている」ように見えます。その結果、本当は直すべきページが判定から外れます。

取りこぼしの計算だけ機械にやらせる手も ありますが、この混ざり方を知らないと出てきた順番を読み違えます。先に構造から書きます。

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指名検索のCTRが平均より高いのは、順位のおかげではない

まず言葉の整理です。指名検索とは、行き先が決まっている検索のことです。

  • ブログ名・サイト名で検索する
  • 運営者の名前・ハンドル名で検索する
  • 商品名・サービス名で検索する
  • 「ブログ名 + 記事のテーマ」で検索する

これに対して一般の情報検索は、行き先が決まっていません。「ブログ リライト 方法」と打った人は、まだどのサイトを開くか決めていません。だから並んでいる結果を見比べ、上から順に選びます。

この2つでは、クリックが決まる仕組みが違います。

一般の情報検索指名検索
検索した人の状態まだ決めていない行き先が決まっている
クリックを決める要素順位・タイトル・説明文探していたサイトかどうか
順位競合次第で動く自分のサイトが上位に来やすい
CTR順位でおおよそ決まる順位ではほとんど決まらない

つまり指名検索のCTRは、順位別の平均という物差しの外にあります。高く出るのは当たり前で、高いこと自体には情報がありません。「うちのCTRは平均より高い」は、指名検索が多いなら「名前で探してくれる人がいる」以上のことを意味しません。

期待CTRの表は、一般の情報検索を前提にしている

リライトの判定で使う「順位ごとの期待CTR」は、市場全体を集計した平均です。当サイトが使っているのは日本市場の実測値で、生の値は1位13.94%。ここに AI Overview によるクリック減を補正して、判定には1位9.90%を使っています(補正の考え方は後述のリンク先に書きました)。

この数字は、指名検索を除いた値として公表されているわけではありません。ただ、市場全体の平均に対して、あなたのページ1枚の指名検索比率がどれだけ高いかは誰にも分かりません。平均に混ぜてよいのは、平均と同じ条件のページだけです。

よく引用される「1位のCTRは39.8%」という数字は、そもそも検索結果が単純なページに限った、複数調査の統合値から出ています。指名検索を除いてあるかどうかは、出典に書かれていません。標本の性格が違うものを基準にすると、ほぼ全ページが取りこぼし判定になります → 「1位のCTRは39.8%」はどこから来た数字か

混ざると何が起きるか、数字で追う

ここがこの記事の中心です。例で追ってみます。以下の数字は説明のために作った例で、実測値ではありません。

サーチコンソールの「ページ」CSVに、こう出ているページがあったとします。

項目値
表示回数1,000
クリック数50
CTR5.0%
平均掲載順位6.0

6位の期待CTR(補正後)は2.05%です。実CTRは5.0%なので、期待の約2.4倍。取りこぼしはゼロで、「直す必要のないページ」に見えます。

ところが、このページのクエリを見ると内訳がこうだったとします。

クエリの種類表示回数クリック数CTR
指名検索(ブログ名を含む)1004040.0%
一般の情報検索900101.11%
合計(CSVに出る数字)1,000505.0%

表示回数の1割にすぎない指名検索が、クリックの8割を持っています。残りの900表示は、10クリックしか取れていません。

一般の情報検索だけを取り出すと、CTRは1.11%。期待の2.05%を下回っています。差は0.94ポイントで、表示900回を掛けると約8クリックの取りこぼしになります。

ページ全体では「取りこぼしゼロ」、内訳を見ると「取りこぼしあり」。同じページの、同じ期間の数字です。

一般の情報検索と指名検索が混ざるとページ全体のCTRが高く見え、取りこぼしを誤診する仕組みの図解

この試算も正確ではない、という注意

正直に書いておきます。上の約8クリックも、正確な値ではありません。期待CTRを6.0位で引きましたが、6.0位という順位も指名検索込みの平均だからです。

指名検索では自分のサイトが上位に出やすいので、平均掲載順位も実力より上に見えていることがあります。一般の情報検索だけなら9位かもしれず、その場合の期待CTRは1.24%になります。

つまり実CTRも平均掲載順位も、両方が指名検索に引っ張られています。しかも引っ張られる方向が逆なので、どちらが勝つかは内訳を見るまで分かりません。

確実に言えるのは1つだけです。指名検索が多いページの実CTRと平均掲載順位は、そのページの一般検索での実力を表していません。

指名検索が多いページは、期待CTRとの比較が成立しない

ここまでを踏まえると、扱い方は「補正する」ではなく「土俵から降ろす」になります。

期待CTRとの比較は、「順位で決まるクリック率」を前提にした物差しです。指名検索はその前提の外にあるので、比率が高いページでは、比較の結果そのものに意味がありません。「期待の3倍だから優秀」でも「期待を下回るから要改善」でもなく、判定不能です。

実務的にはこう扱うと迷いません。

そのページのクリックに占める指名検索期待CTRとの比較やること
ほぼゼロ成立するそのまま判定してよい
数割ある数字が甘く出る一般クエリだけで計算し直す
半分を超える成立しないCTRでの判定は諦め、順位と表示回数で見る

⚠️ この区切りは私が判断の目安として決めているもので、公式の基準ではありません。厳密な線を引くことより、「混ざっているページを混ざっていないページと同列に並べない」ことのほうが効きます。

どのページに指名検索が混ざりやすいか

全ページのクエリを見る必要はありません。混ざりやすいページには偏りがあります。

  • トップページ — サイト名で検索されれば、ほぼここに来ます
  • プロフィール・運営者情報 — 名前で検索した人の行き先
  • 自分の商品・サービスについて書いた記事 — 商品名は指名検索そのもの
  • SNSや外部メディアで紹介された直後の記事 — 「ブログ名 + テーマ」で探し直されます
  • サイト内で最も有名な1本 — 記事名を覚えられていると、記事名で検索されます

逆に、一般的なノウハウ記事にはほとんど混ざりません。そしてリライトの対象になるのは、たいていそちら側です。だから「全ページを疑う」必要はなく、CTRが妙に高いページだけを疑えば足ります。

判断の順番としては、まずサーチコンソールの4つの数字を見て、順位に対して実CTRが不自然に高いページを拾い、そこだけクエリを確認する、という流れになります。

サーチコンソールで指名検索の割合を見る

除外の条件を1語で書けないとき(ブログ名の表記ゆれが複数あるときなど)は、正規表現フィルタを「正規表現に不一致」で使います。書き方は正規表現フィルタの書き方にまとめました。

手順そのものは短いです。

  1. 検索パフォーマンスを開く
  2. ページのタブで、対象のURLを1つ選ぶ
  3. クエリのタブに切り替える(絞り込みが効いた状態になります)
  4. ブランド名を含むクエリのクリック数を合計する
  5. そのページのクリック数全体で割る

ブランド名は表記ゆれごと拾ってください。漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字・ドメイン名・略称・打ち間違い。意外と多いのがローマ字の綴り違いです。

⚠️ ここは1ページずつしかできません。画面から落とすCSVには、ページとクエリをつなぐ列が入っていないためです。この制約と回避策は クエリとページの違いに書きました。だからこそ、確認するページを先に絞る必要があります。

なお検索数が非常に少ないクエリは表示されません。合計が合わなくても壊れているわけではないので、割合はおおよそで構いません。1割か、半分か、ほぼ全部か。その粒度で足ります。

取りこぼしの並び順は「差の大きさ」ではない

もう1つ、誤診につながりやすい点を書いておきます。直す順番を決めるのは、CTRの差そのものではありません。

改善余地スコア = 表示回数 × (期待CTR − 実CTR) ÷ 100
                                      ↑ マイナスになる場合は 0 として扱う

差が小さくても、表示回数が多ければ上に来ます。差が2ポイントでも表示100回なら2クリック、差が0.5ポイントでも表示2,000回なら10クリックです。

指名検索が混ざると、この式の実CTRが押し上げられます。差が縮み、取りこぼしが小さく計算され、並びの下に沈みます。ページが消えるのではなく、順番が変わる。これが「本当は直すべきページを見逃す」の中身です。

逆方向の症状 —表示回数はあるのにクリックされないときの切り分けは こちらの記事に分けて書いています。

この計算と並べ替えを自動でやるツールも作りました。できることとできないことは記事の最後に書きます。

直す記事と作業内容を決める

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よくある質問

指名検索が多いページは、リライトしなくていいのですか

「CTRを根拠にリライトを決められない」だけです。そのページを直すべきかどうかは、別の材料で判断できます。表示回数が伸びているか、平均掲載順位が下がっていないか、クエリの中に狙っていなかった一般キーワードが育っていないか。判定できないのはCTRの1項目だけで、ページを見捨てる理由にはなりません。

サイト全体の平均CTRが高いのは良いことですか

内訳を見るまでは、良いとも悪いとも言えません。指名検索の比率が高いだけなら、それは「名前を覚えてもらえている」という事実であって、一般検索でクリックを取れている証拠ではありません。サイト全体の平均CTRは、この2つを1つの数字に潰してしまいます。判断はページ単位で、順位ごとの期待値と比べてください。

指名検索を増やすのはSEOとして良いことですか

この記事の範囲では、良し悪しの話をしていません。ここで扱っているのは「混ざった数字をどう読むか」だけです。指名検索が増えること自体は、名前が知られたということです。ただし増えるほど、CTRを物差しに使えるページは減ります。物差しが1本使えなくなる、という副作用だけ知っておけば十分です。

まとめ

  • 指名検索は、行き先が決まっている検索。クリックを決めるのは順位ではなく「探していたサイトかどうか」
  • 順位別の期待CTR(1位の実測13.94%、補正後9.90%)は一般の情報検索を前提にした平均。指名検索はその物差しの外にある
  • 混ざると実CTRも平均掲載順位も引っ張られる。しかも方向が逆なので、内訳を見るまでどちらが勝つか分からない
  • 結果、取りこぼしが小さく計算され、直すべきページが並びの下に沈む
  • 見分け方はサーチコンソールでページを1つ選び、クエリのブランド名比率を見る。割合はおおよそで足りる
  • クリックの半分を超えるなら、CTRでの判定は諦めて順位と表示回数で見る

CTRが高いページを疑う、というのは気持ちの悪い作業です。ただ、疑うのは数字が高いページのうちのごく一部で足ります。一度どのページに混ざっているかを把握すれば、次からは除外して見るだけです。


ここから先は、私が作ったツールの話です。

この記事に書いた取りこぼしの計算と並べ替えを自動でやるツールを作りました。サーチコンソールのエクスポートをZIPのまま落とすだけで(解凍もファイル選びも不要です)、取りこぼしの大きい順に記事が並びます。判定と候補3記事の改善余地スコアの確認、そのうち1記事分の診断カードまでは無料で、残りの診断カードが2,980円(税込)の買い切りです。月額課金や自動更新はありません。ログインも不要です。

⚠️ このツールは、指名検索かどうかを判別していません。画面から落とすページCSVにクエリの列が無いので、判別する材料がそもそも手元に来ないためです。判定に使っているのは掲載順位4.0〜20.5位・表示回数100回以上という条件と、期待CTRとの差だけです。

結果として、実CTRが期待CTRを上回るページは候補から外れます(取りこぼしが0以下になるため)。指名検索が強いページは自然に落ちますが、それはCTRの結果として落ちているだけで、指名検索を検出したわけではありません。一部だけ混ざったページは残ります。並んだ順番をそのまま信じず、上位に出たページのクエリはご自分で確認してください。この記事に書いた手順は、そのためのものです。

CSVファイルそのものはブラウザの外に出ませんが、診断カードを出すときは、選んだ1ページぶんの数値(URL・キーワード・掲載順位・表示回数・CTR)を送信します。タイトルを取得するボタンを押した場合は最大10件のURLを送信します。

⚠️ 指名検索が中心のサイトには向きません。すでに名前で探されているサイトでは、CTRを物差しにした判定そのものが機能しないからです。表示回数100回未満のページも判定に出ません。数字が偶然で大きく振れるためです。まずは記事を増やす段階なら、このツールは向きません。

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この記事の内容をツールにしています

Search Console の「ページ」CSVを貼ると、改善余地のある記事を順番に出します。 判定とご自分の記事1件分の診断カードは無料です。ログイン不要。CSVファイルはアップロードせず、ブラウザ内で解析します。

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この記事を書いた人

みやこし

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noteQiitaZenn

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